子供だけでなく、職場でも役に立つ知識です。
部下を抱えているあなたにもおすすめの内容となっています。
好きが薄れるご褒美の罠
子育てをしていると一人一人に個性があり、好きなものも違うので毎日見ていて飽きないですよね。
いつの間にか親より詳しくなっていたり、上手になっていたり…
筆者には息子がいますが、幼少期は絵を描くことが好きでどんどん上達していました。
やっぱり『好きこそものの上手なれ』はその通りですね。
ところが、ある時を境に『おもちゃの為』に絵を描くようになりました。
ちょっとしたきっかけで、やる気は変化してしまうのです。
まずはなぜこのようなことが起きるのか?をご説明します。
内発的動機と外発的動機
上記のように、ただ『好き』だったものが、何らかの要因によって過剰な報酬を得ることで、動機の種類が変わってきてしまいました。
動機の種類は2つで『内発』か『外発』かに分類されます。
・内発的動機とは
物事に対して面白さを感じて行動すること
本人の関心や興味がないと動かない
・外発的動機とは
報酬を得るために行動すること
罰を回避するために行動すること
このように、
内発的動機は『自分の中からやる気が出る』もの、
外発的動機は『外部より与えられたものでやる気が出る』もの
この2つが報酬によってシフトしていってしまう現象をアンダーマイニング現象と言います。
アンダーマイニング現象
普段から粘土が好きな子供たちを3つのグループに分けて、自由時間に粘土に取り組む時間を計測します。
そしてあるとき、以下のような対応をします。
そして1週間経過後、すべてのグループにお菓子をあげることを止めてしまいます。
すると、グループAだけ今までと比べ粘土に取り組む時間が大幅に短くなってしまいました。
内発的動機が、お菓子によって外発的動機にシフトし、報酬が得られないためやる気が落ちてしまった。
と考えられます。
このような現象を『アンダーマイニング現象』と言います。
おもちゃに憑りつかれた子供
筆者には息子と娘がおりますが、息子は絵を描くことが好きでした。
ぐんぐん上達して、このまま才能を伸ばしてほしいと思ったものです。
しかし、幼少期に絵が選ばれたことをきっかけに変わっていってしまいました…
実際にご覧いただき、あなたの教育方針にお役に立てれば幸いです!
きっかけはおじいちゃんだった
登場人物
ちょぬ
→ブログ筆者・二児の父
Cちゃん
→妻・二児の母
Hくん
→ブログ筆者 息子 絵が得意
(※当時5歳)
じいちゃん
→Hくんのおじいちゃんで妻の父親
パパ、ぼくの描いた絵が選ばれたよ!
おめでとう!!すごいね!
毎日書いてたもんね!
そう、絵画コンクールに選ばれて息子はとても喜んでいました。
好きなことが周りにも認められて、嬉しそうでした。
じゃあ、おじいちゃんとおばあちゃんにも報告しなきゃねー!
妻の実家に泊まりで行く予定があったので、ついでに祖父母に報告しようという流れになっていました。
妻の実家にはひと月に一度以上は行っています。
おじいちゃん!
ぼくの絵が選ばれたよー!
おー…!
Hくんはすごいねぇ!
おじいちゃん嬉しいよ!
お祝いムードで、息子はとっても鼻高々で嬉しそうでした。
おじいちゃんも本当に自分のことのように喜んでくれてこの時までは良かったのです。
そして翌日、昨夜にでも聞いたのでしょう。
おじいちゃんが20,000円相当の某変身セットを周辺パーツ含めたくさんプレゼントしたのです。
Hくん、昨日ほしいって言ってた
変身セット買ってきたよー。
コンクールに選ばれたご褒美!
えー!!!
やったあ!!
欲しかったんだぁ!
こんな高いおもちゃ!
お父さん、甘やかせすぎないでよー(笑)
Hくんは大喜び、それを見ておじいちゃんも満足そう。
Cちゃんもクリスマスのプレゼントが浮いたので、遠慮はしていたものの、笑顔。
私もその時は特に何も思わず『良かったなー』くらいしか考えていませんでした。
これが甘かったんです…
好きからおもちゃへシフト
数日たち、いつものように息子はお絵描きをしていました。
ところが、こんな一言が出たのです。
また選ばれたら
つぎは何がもらえるかなあ?
そうです。
脳に『報酬』が組み込まれてしまいました。
『好き』から『報酬』に切り替わるスイッチができてしまっていたのです。
ただ、その後も変わらず絵を頑張り続け、いろいろと選ばれるようになっていきました。
そして、そのたびにおじいちゃんからおもちゃを買ってもらうことが当たり前になっていったのです。
- 絵が好きだった
- 好きだったので上達した
- 上達したので成果が出た
- 成果が出たので報酬をもらった
- 報酬が目当てに徐々に変化してしまった
上記の流れで、内発的動機→外発的動機にシフトしていってしまうのです。
モチベーション低下
徐々に賞も取れなくなり、結果今では絵を描くことをやめてしまいました。
本人の才能の部分ももちろんあると思いますが、目的が絵を描くことではなくおもちゃを買ってもらうことに変わっていってしまったので、目に見えてお絵描きの時間が減っていったのです。
上記のサイクルにまんまとハマってしまいました。
うーん、ザンネンなわたし。
もちろん、報酬に惑わせられることなく、ずーっと楽しんだ状態をキープできるお子様もいると思います。
ひとりひとりに合った教育が大切です。
ぜひ価値観を合わせながら子育てを進めていきましょう。
↓価値観についての記事はコチラ↓
決してすべての報酬がNG!というわけでは無く、上手な使い分け方を事項で説明します。
子供の好きを伸ばすため
さて、ここまで報酬を与えることは悪いこと!のように見えるかもしれませんが、そうではありません。
報酬は、『使い方次第』で強力な薬にも毒にもなるのです。
大切なPOINTはたった2つです。
- 得意・好きなものには報酬は与えない。
- 苦手・嫌いなものでは報酬を与える。
得意・好きなもの=内発的動機に任せ、たまに声をかけてあげる
苦手・嫌いなもの=外発的動機に紐づけ、報酬を用意しやる気を出してもらう
得意なものや好きなものに取り組んでいるときは…
すごいね!前より詳しくor上手になったね!
上記のように、成長を客観的に伝えてあげるだけでOKです。
苦手・嫌いなものに取り組んでもらうときは…
勉強が嫌いな子を例にします。
テストで100点取ったら100円あげる!
これは、勉強が苦手・嫌いな子に対しての最初の動機づけとしては間違ってい居ないのです。
もちろん子供自身が将来を考えて勉強してくれれば最高ですが、なかなか少数かと思いますので、参考までに。
おじいちゃんやおばあちゃんには、『苦手なものに対する頑張りや成果』に対してご褒美をもらうように伝えておくと、変な気遣いも無くなって良いかもしれませんね!
さて、今回のお話はいかがでしたか?
毎日成長していく我が子を見るのは、本当に楽しいものです。
いろいろなものを経験し、自分の好き・得意をどんどん見つけて行ってほしいですし、ブログを読んでいるあなたも、このページにたどり着いてくれるくらい真剣にお子様を愛していらっしゃることと思います。
教育方針の違いや、思い通りにいかない子育てに悩んだり苦しむこともたくさんあると思います。
しかし、この時間は一瞬で過ぎ去ってしまいます。
今ある時間を大切にお子様との日々を楽しんでくださいね!
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